炎のゆらぎに癒やされる。「和ろうそく」に息づく歴史

最終更新日:2025/01/10 18:27
和ろうそく

江戸時代からの伝統的な 花柄の絵付け

「和ろうそく」をご存じでしょうか。室町時代に中国から渡来した伝統的なろうそくのことです。石油に含まれるパラフィンなどが原料の洋ろうそくに対し、和ろうそくはハゼの実などを絞って取る植物性の「木(もく)ろう」から作られ、「すすが少なく、仏壇や部屋が汚れにくい」「風に強く、炎が消えにくい」「炎に独特の揺らぎあり、さまざまな表情を見せる」といった特長があります。明治期以降は安価な洋ろうそくに押されて減少の一途をたどってきましたが、近年、さまざまなシーンでその価値や魅力が見直されています。大切な人のご供養の場をはじめ、日常の「和のインテリア」として、外国人に喜ばれるお土産物として―。きっかけとなったのが、四季折々の花などを描いた「絵ろうそく」です。

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1877(明治10)年創業の松本商店(西宮市今津水波町11-3)は兵庫県内では唯一、全国でも数少ない和ろうそくの生産・販売業者です。手作りにこだわり長年、各地の寺院に伝統の和ろうそくを納める一方、絵ろうそくも手がけています。4代目の松本恭和社長(66)が三十数年前、東北や北陸などの寒冷地では、花が描かれた絵ろうそくを生花の代わりに仏壇に供えると知り、「関西でも広めたい」と生産を始めました。絵ろうそくには、寺院での法要の際に花をまく「散華(さんげ)」という作法にならい、花で供養する仏教的な意味合いも込められています。

長かった夏を経て、駆け足で秋が深まり始めた11月半ば、松本商店を訪ねると、お盆に次ぐ繁忙期を迎えていました。喪中はがきが届く年末にかけ、絵ろうそくの需要が増えるといいます。「近年は家族葬が増え、親族以外のお葬式に参列する機会が減っています。喪中はがきで初めて、お世話になった方のご不幸を知ることも増えていると聞きます」と松本社長。喪中お見舞いにはお線香を贈ることが多いですが、違った形でも「お世話になった方への想いを届けたい」と絵ろうそくを選ぶ人が増えているそうです。「『あの人はお花が好きやったな』と故人を思い出しながら、絵ろうそくを贈るお客さんもいます」(松本社長)。もちろん、ご自宅用にもお使いいただけます。松本社長は「仏壇がない家庭で、大切な方の写真の隣に、火を付けずに絵ろうそくを置くだけでもご供養になると思います。一番の供養は、その方を思い出し、偲(しの)ぶことですから」と話します。

用途は供養に限りません。江戸時代からの伝統を引き継ぎ、手作業で絵付けされた絵ろうそくは、外国の方へのお土産物としても喜ばれています。また木ろうや和紙、い草といった天然素材から作られた和ろうそくの炎には「1/f分の1(エフぶんのいち)ゆらぎ」と呼ばれる独特のリズムがあり、見る者に心地良さをもたらします。このリズムは波の音や星の瞬きなど自然界に多く存在し、脳をリラックスさせる効果があるとされます。時には部屋とスマホの明かりを消し、愛らしい花が描かれた絵ろうそくに火をともすのもオススメです。さまざまな表情を見せる炎を見つめるうちに、自然と気持ちが安らぐはずです。

実は松本社長が手作りの意義に気づいたのは、1995年1月の阪神・淡路大震災でした。銀行員を経て20代後半で家業を継いだ当初は「古くさいやり方をやめ、機械化や効率化を進めてやる」と息巻き、職人かたぎだった先代の父・純男さんとけんかが絶えなかったそうです。94年12月に念願の製造機械が完成。しかしなぜか、ろうそくの形がそろわない。改良を加えようとしていた矢先、震災で自宅兼店舗も機械も壊れ、数千万円の借金が残りました。途方に暮れていた時、春の彼岸に向け、電磁調理器で黙々とろうそくを作る父の姿がありました。「自然のものを全て機械で扱えると自分は勘違いしていたんとちゃうか、と目が覚めた」といいます。それから30年。昨年95歳で亡くなった父の教えを胸に、成長した娘さんらを含め家族総出で、手作りが生む温かな炎を守り続けています。

商品詳細

大きさ:長さ約10センチ(絵ろうそく3号)
燃焼時間:約50分
注意事項:一つひとつ手描きの為、画像とイメージが異なる場合がございます。

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