850年の歴史
手作りの丹波焼

古来、日本で親しまれてきた焼き物。工業製品にはない不均一で自然美に富んだ風合いは、多くの人に愛されています。ただ「興味はあるけど、高そうで手が出しにくい」「日常生活で使う場面があまりない」という向きもあるのでは。そうした方にもお薦めの「丹波焼」のマグカップ(ペア)と、一輪挿しの小瓶をご紹介します。縄文時代からの手作りの技術を継承する「日本六古窯(ろっこよう)」(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)に数えられ、850年以上の歴史を持つ丹波焼。その窯元の一つ「昇陽(しょうよう)窯」の逸品です。
兵庫県の中東部に位置する丹波篠山市今田町の立杭(たちくい)地区。緩やかに連なる里山が見る者を優しく包み、その山裾に寄り添うように約60の窯元が点在しています。この地で伝統の土と技を守りながら、新風を吹かせる存在なのが、昇陽窯3代目の大上裕樹さん(38)です。金沢美術工芸大で学んだ後、美濃焼の窯元で3年間修業。日本陶磁協会賞など幾多の受賞歴があり、アメリカでの活動や独創的な作風で知られる鈴木五郎氏に師事しました。世界を旅して各国の工芸にも触れ、2013年から郷里の丹波で本格的に作陶。精力的に個展やグループ展も開き、取材に訪れた際は、旧知の日本人アーティストとのコラボ展があった台湾から帰国したところでした。
「外から丹波を見ることから始まった」という大上さんの作陶の道。原点には先代の父・裕さん(70)から言われた「丹波だけで長くやっていると視野が狭くなる。外でいろんなものを吸収して丹波に帰り、地に足を着けてやったらいい」との言葉があったとか。そして「丹波焼も長い歴史の中で柔軟に変貌してきました。今も同じ土を使いながら、100人近くの陶工によってバリエーション豊かなものが作られています」と大上さんは話します。
そこには「問屋がない」という丹波焼の特徴も関係しています。作り手が販売まで担うため、お客さんと対話する中で、伝統を受け継ぎながらも時代時代に即した作品が生まれてきました。大上さんは「自分が描くノートの下敷きとして、丹波焼850年の歴史がある」と表現します。伝統と革新。普遍性と時代性。日用品でありながら、そこに宿る芸術性と精神性―。そうしたものの調和が、このマグカップと一輪挿しの小瓶にも表れています。いずれの品も新型コロナ禍の中で、大上さんが作り上げました。
外出もままならなかったコロナ禍。「朝起きて最初に使う器で、少しでも心地よく一日を始めてもらえたら」。マグカップには、そんな思いが込められています。大上さん自身マグカップを集めるのが趣味で、「唇に触れる時にストレスなく飲めるよう、口当たりにこだわりました」。側面の模様は「鎬(しのぎ)」と呼ばれる丹波焼の伝統技法が施され、「毎日使い込むうちに表情が変わっていく」といいます。ペア商品として「碧」と「柚」の2色をご用意しました。
一輪挿しの小瓶は、「Little Happiness(リトル・ハピネス)〜日常に小さな幸せを〜」と名付けられた昇陽窯のシリーズ商品の一つ。オリジナルの釉薬を使った青緑とでもいうべき鮮やかな色には、周囲の色彩まで沈んで見えたコロナ禍の当時、大上さんが「日常を明るくする差し色に」と願いを込めました。見慣れたおうちの光景に彩りを与えてくれます。手のひらに収まるサイズで玄関や窓際、テーブルと置く場所に困らず、大切な人へのギフトに、毎日忙しい自分へのちょっとしたご褒美に最適です。ドライフラワー付きで、届いてすぐ飾っていただけます。
また、これらの商品で丹波焼の魅力に触れた後は、実際に立杭地区に足を延ばしてみるのもお勧めです。大上さんの昇陽窯(丹波篠山市今田町下立杭8)は1階に工房兼店舗、2階にギャラリーを備え、2020年に2代目・裕さんの展示場近くに新たにオープンしました。豊かな自然とゆったり流れる時間の中で、平安時代末期からの伝統を守り続ける丹波焼の郷の息遣いを間近に感じられるはずです。
商品詳細
マグカップ
サイズ:直径約10.5cm×高さ9.5cm (8分目くらいで250cc入ります)
注意事項:食洗機・電子レンジ可/オーブンのご使用はお避けください
[一輪挿し]
サイズ:直径4.2cm×高さ10.6cm
注意事項:釉薬の流れ方などにより、商品写真と色味の出方が異なる場合があります。
手作りの一点物ならではの表情をお楽しみください