ふわふわの肌触り、寒さ忘れる
世界から「寒い」をなくす―をコンセプトにした、老舗肌着メーカー「ワシオ」(兵庫県加古川市)の「もちはだ®」シリーズをご存じでしょうか。半世紀以上のロングセラーで、独自の起毛技術から生み出された肌着や靴下、小物、アウターなどの商品は、さまざまな防寒グッズがあふれる令和の時代にあっても、唯一無二の保温力と肌触りを誇っています。その看板商品の一つであるハイソックスをご紹介します。このソックス、世界的な冒険家の植村直己さん(兵庫県豊岡市日高町出身)が南極探検の際に履いていたというエピソードを持っており、その機能性の高さが分かります。


他社にまねできない機能の理由は、製法にあります。同社の初代・鷲尾邦夫さん(故人)が1970年、地場産業の靴下を製造する丸編み機を改良し、特許製法「鷲尾式起毛」(現在は特許権の存続期間は終了)を開発しました。一般的な起毛素材は、タオルのようにループ(輪)状になったパイル編みの生地の糸を縦方向に引っ掻いて起毛させます。肌触りが良くなり、起毛部分の保温性は上がりますが、空気をため込むループが切れるため、ループ部分の保温性は落ちます。一方、「鷲尾式」は糸を編むのと同時に、横方向にループの上部の糸だけを起毛させます。ループは破壊しないため、起毛部分とループの両方に空気をためることができ、高い保温力を持つ生地に仕上がるというわけです。

生地の厚い空気層が体温を外に逃さず、湿気を通す編み地の設計。汗も含め体の水分で発熱する肌着などが流行ですが、「もちはだ®」は過剰な暖かさではなく、ワシオ価値提供部長の橋本昌直さん(61)は「『すごく暖かい』というより、寒くないんです」と表現します。ソックスの内側は履き口から爪先までふわふわで、柔らかな毛布のような肌触り。かかとがない筒状のソックスは、ずれ防止のゴム編みを2カ所のみ採用し、よく伸びて、楽にスッと上まで引き上げて履けるのも特長です。ワンサイズ・男女兼用で子どもから大人まで誰でも履けるので、ギフトにも最適です。
「鷲尾式起毛」の特許権は既に切れていますが、特殊な編み機は部品が流通しておらず、同社では今も部品を自作し、機械をメンテナンスしています。「いわば手作りの機械なので“機嫌”が悪くなると大変です」と橋本さん。靴下などを編むのと同じ工場内で、部品の金属加工や溶接作業などまで行っています。年季が入った編み機の音はどこか人間味があり、生産量も1台で1日40~50足とか。アパレルの工場というと「大量生産」「無機質」といったイメージがありますが、同社では職人や縮織検品作業に当たる従業員らの手作業も多く、「ものづくりの現場」の雰囲気が漂います。ここにも、「もちはだ®」が時代を経ても、唯一無二であり続ける理由があります。

「とにかく『もちはだを知らない』『使ったことがない』という方に使っていただき、商品の良さを知ってほしい」と話すのは昨年1月、父の吉正さんから社長職を引き継いだ3代目の鷲尾岳さん(33)。中国でのビジネスなどグローバルなキャリアを持つ岳さんですが、目指すは「お客さんに喜んでもらうこと」とシンプルです。自身も寒がりといいますが、冬も暖房いらずとか。もちはだのコンセプト通り「寒さをなくせば、暮らしが快適になる。それでたくさんの人を幸せにできたら、企業としてこんなにうれしいことはない」と言います。冬場の寒さから家族や大切な人を守る強い味方として、冷え性のあの人へのプレゼントとして、ぜひ一度お試しください。
商品詳細
素材/原料:アクリル70%、毛16%、ポリエステル12%、ポリウレタン2%
サイズ:長さ約47cm(±2cm)
対応足サイズ:男女兼用22-27cm相当
製造:ワシオ株式会社
お手入れ方法:洗濯機使用可(洗濯ネット使用)、タンブル乾燥不可、蛍光増白剤の入っていない洗剤をお使いください。
注意事項:
天然素材を使用している為、実際の色、質感、サイズに多少の差があります。あらかじめご了承ください。
起毛製品の特性上、摩擦により毛玉ができる場合があります。引っ張らずに毛玉取り機やハサミで取り除いてください。